未来発電 【沖縄科学技術大学院大学】外部電源を必要としない浮遊する回転円盤を開発

Screenshot
(出典:https://www.oist.jp/ja/about/news-center/media-coverage/chongyingkexuejishudaxueyuandaxue-waibudianyuanwobiyaotoshinaifuyousuruhuizhuanyuanpanwokaifa)
沖縄科学技術大学院大学の画期的発見:外部電源不要の浮遊回転円盤
日本の沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究チームが、外部電源を必要とせず宙に浮きながら回転し続ける直径1cmのグラファイト(高純度黒鉛)製円盤を開発した。これは2025年10月10日に『Communications Physics』誌で発表された成果で、磁石の軸対称磁場を利用し、回転摩擦を原理的にゼロに近づける条件を実現。実験では摩擦を極めて低く抑え、円盤が長時間回転し続ける様子を確認した。この技術は古典物理学や量子物理学の超精密センサー開発に革新をもたらす可能性が高い。
背景と課題:磁場浮上と摩擦の壁
磁石を使った物体浮上は、19世紀の物理学者サミュエル・アーンショウが提唱した「アーンショウの定理」により、静的な磁場だけでは安定しないとされてきた。通常、超電導磁石や制御システムを要するが、グラファイトの「反磁性」(磁場から逃避する性質)により、常温で安定浮上が可能になる。ただし、回転させると「渦電流」が発生し、摩擦を生む。渦電流はレンツの法則に基づき、回転による磁場変化が電流を誘起し、反対方向の力を生じて運動を阻害する。これが従来の障壁で、過去の試みではグラファイトを微粒子化して渦電流を分散させたが、重さが増す欠点があった。
研究の核心:対称性による摩擦ゼロ化
研究チームは、磁石を円形に配列し、円盤を完全に同心円状に配置する「軸対称」構造を考案。これにより、円盤の回転中も磁場が「静的」に見え、電子が磁場変化を感知せず渦電流が発生しない。比喩的に言うと、円盤が「平坦な道」を走る自転車のように、起伏のない磁場で摩擦が最小化される。純粋なグラファイトを使い、外部エネルギー供給なしで実現した点が画期的だ。
意義と応用
この浮遊ローターは、摩擦ゼロの理想環境を提供し、量子力学の実験や高精度センサー(例: 微小振動検知)に活用可能。SFのような夢の技術が科学的に裏付けられ、物理学の新時代を拓く。詳細はOIST公式サイト(https://www.oist.jp/ja/news-center/news/2025/10/10/freely-levitating-rotor-spins-out-ultraprecise-sensors-classical-and-quantum-physics)や論文(DOI: 10.1038/s42005-025-02318-4)を参照。

